自然の上羽化

樹木が根を張り、農作物が育つ大地。その大地が疲れています。原因は農薬、工業排水、ダイオキシン類など、化学物質による汚染です。微生物が住む肥よくな土はふっくらとしていて、土中に空気や水を蓄え、洪水を防ぐ機能があります。しかし、農薬散布により微生物が死滅すると、土はつぶれて粒子がバラバラになり、雨が降ると泥水となって流出してしまいます。土の「ろ過作用」が衰えているのです。また、土には「イオン交換作用」による中和機能がありますが、酸性雨が降り注いで、土の中が水素イオンでいっぱいになったり、ゴミ焼却施設から排出されるダイオキシンなどの有害な化学物質が入り込むと、中和機能は喪失。汚染された土壌になってしまうのです。工業排水による汚染では、重金属系の物質が土に染み込み、地下水まで汚してしまいます。
こうした汚れは何年経っても消えることがなく、周辺の土を丸ごと入れ替えるしか手はありません。汚染された土壌で育てられた農作物が私たちの口に入り、知らぬ間に体内に蓄積されている可能性は否定できません。


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